ハングル文字の覚え方③・成り立ちを知ると暗記しやすい(基礎母音編)

ハングル文字はローマ字のように「子音記号」と「母音記号」を組み合わせて1文字を作るのですが、母音記号だけで21種類あります。ときどきハングル文字が覚えられないので、カタカナで「アンニョンハセヨ」とか「カムサハムニダ」と勉強し始める人が出てくるのですが、カタカナで勉強してしまうと上達する可能性がゼロ%になってしまいます。

そこで、この項ではあなたが韓国語ペラペラになるために必ず避けては通れないハングル文字のうち、母音記号の覚え方を解説していきます。

なお、まだ一度もハングル文字を勉強したことのない方は次の記事からお読みください。

ハングル文字の覚え方・はじめて勉強する人向け

ハングル文字の覚え方:母音記号は「天」と「地」そして「人」からできている。

母音記号は21種類

ハングル文字の母音記号は全部で21種類あります。母音記号だけだと文字にならないので、子音はゼロよ!の「ㅇ」と組み合わせて書き出すと次のようになります。

아 야 어 여 오 요 우 유 으 이(10)

애 얘 에 예 와 왜 외 워 웨 위 의(11)

上の21文字からそれぞれ「ㅇ」を除いた部分が母音記号です。

勉強を始めたての人が見ると、全て同じに見えるかもしれませんが、「ㅇ」の右、もしくは下側にある母音記号をよーく見てみると、縦棒と横棒・長い棒と短い棒で記号ができているのがわかりますよね?

そうなんです!要するにハングル文字の母音記号は長い縦棒、短い縦棒、長い横棒、短い横棒を組み合わせて作られているんです。

母音記号の原材料=「天」と「地」そして「人」

実は母音記号の長い縦棒、短い縦棒、長い横棒、短い横棒にはそれぞれ意味があります。それは「天」と「地」そして「人」。ハングルの母音記号はこの天地人を表す3つの部品を組み合わせていくんです。

一つ目の部品は「天」。記号は「・」で表します。天とは宇宙全体のことなんですが、理解しやすくするために「太陽」のシンボルが「・」だとイメージしてみてください。

なお、太陽は「陽」の性質を持っているとされています。昼と夜、天と地、太陽と月、光と影、火と水、男と女・・。この世の全てのものは陽と陰、二つの性質のバランスで成り立っているという古代中国の考え方があるのですが、「天」「太陽」は陽の性質を持っているので、記号の「・」も陽の性質を持っていると考えます。この陰陽の話は後々大事になってくるので、頭の片隅においておいてください。

二つ目の部品は「地」。記号は「ㅡ」。横棒です。地面、地平線をイメージするといいですね。

なお「地」は陰の性質を持っています。「天」「太陽」の反対だからです。なので、「ㅡ」も陰の性質を持った記号です。

三つ目の部品は「人」です。記号は「ㅣ」。縦棒です。天と地の間に立っているのが人なので、縦棒で表します。

なお「人」の性質は中性です。「天」と「地」の間にある存在だからです。なので、「ㅣ」も中性(陰にも陽にもなる)になります。

ハングル文字の覚え方:天地人、3つの部品を組み合わせる

①人の右側に天(太陽)

人の右側に天(太陽)、つまり縦棒「ㅣ」の右側に「・」置くと絵としてこうなります。

ㅣ・

右側のことを韓国語では「正しい側」ともいうのですが、人の右側に太陽があり、それが正しい側にあるという状態をイメージしてみてください。

おそらく多くの人が太陽が東側にあるイメージをするのではないでしょうか?太陽が南にあるなら位置的に人の上ですし、日本、韓国、中国にいる限り太陽が北にあることはありえません。だから、西か東のどちらかですね。

東に太陽があるということは、「ㅣ・」は朝であり、日の出を表しているということです。つまり、1日の始まり。一方、音の始まりは日本語では「あ」であり、英語では「A」で、おそらく中国語でも「a」から始まります。

韓国語でも同じく音の始まりは「ア」です。音の始まりである「ア」をハングル文字では日の出・朝を意味する「ㅣ・」で表していきます。

ただ、「ㅣ・」は書きづらいので、時代の変遷とともに変化して「・」が短い棒となり現在では「ㅏ」と書いています。つまり、子音がゼロよの「ㅇ」と組み合わせて「아」が「ア」と読むハングル文字となります。

ハングルの母音記号で使われている短い棒は天の「・」だったんですね。

なお、「ㅏ」は朝、日の出のイメージから「陽母音」と呼ばれています。陽母音は韓国人に言わせると強く、明るく、澄んだ音のイメージがあるそうです。

ちなみに韓国語の「아」は日本語の「ア」より口を大きく開けます。最初のうちはこれ以上大きい口は開けられない!!くらい大きな口を開けて発音してみてください。

つまり、「大きい口を開けて」「ア」と発音しろ!と指示している記号が「ㅏ」なんです。

②人の左側に天(太陽)

人の左側に天(太陽)、つまり縦棒「ㅣ」の左側に「・」置くとこうなります。

・ㅣ

現代では「・」が短い棒になりますので、「ㅓ」と表記される母音記号は、人の右側に太陽がある状態が「東」「日の出」「朝」だとすれば、人の左側に太陽がある状態は「西」で「日の入」そして「夕方」を表していると言えます。

日の入りかつ夕方なので「ㅓ」は「陰母音」に区分されます。陰母音は陽母音に対して弱く、暗く、濁ったイメージの音です。

で、肝心の発音ですが「大きい口を開けて」「ア」と発音しろ!と指示している「ㅏ」に対して、「ㅓ」は「大きい口を開けて」「オ」と発音しろ!と指示する発音記号です。

なお、文字にすると「어」になるのですが、これは日本語にはない発音で日本人にはなかなか上手くできない音でもあります。発音に慣れるまでは「これ以上大きく開けられない!!」というくらい大きい口を開けて「オ」と声を出してみてください。するとほっぺ周りの筋肉がついてきて、だんだん上手くなっていきます。

③地の上側に天(太陽)

地の上側に天(太陽)、つまり横棒「ㅡ」の上側に「・」置くと


となりますが、やはり現在では「・」が短い棒になるので、「ㅗ」と表記される母音記号は地を照らす太陽。なのでまさに「昼間」であり、昼間は太陽が南側にあるので「南」も象徴しているのかもしれません。故に「ㅗ」は陽母音に分類されます。

発音は「口を尖らせて」「オ」と発音しろ!という記号です。

「ㅓ」が「口を大きく開けて」だったのに対して「尖らせる」ところがポイントで、「日本語のオ」より大袈裟に、ストローを吸うときのように口を尖らせるとよりネイティブっぽい発音になります。

日本人には「어」と「오」の区別がほとんどつかないので、発音する時だけでもメリハリをつけておいてください。

④地の下側に天(太陽)

地の下側に天(太陽)、つまり横棒「ㅡ」の下側に「・」置くと


となりますが、これは「ㅗ」の反対で「夜」になります。現代での文字は「ㅜ」です。夜はまさに陰なので、ㅜは陰母音に分類されます。

子音はゼロよのㅇをつけると「우」という文字になりますが、우の発音は오と同じく「口を尖らせて」「ウ」と声を出します。

これも「日本語のウ」とは違って大袈裟に口を尖らせてみるところがポイントです。

ハングル文字の覚え方:天地人部品単体にも発音がある

ハングルの基本部品である天地人(・ㅡㅣ)を組み合わせてㅏ ㅓ ㅗ ㅜという4つの文字が作れることを見てきましたが、天地人(・ㅡㅣ)単体でも母音記号としての発音があります。

○天の発音

ただ、天(・)については現代の韓国語では使われていないので、無視して大丈夫です。ちなみに「ア」みたいな発音だったそうです。

⑤地単体の発音

地単体で「ㅡ」と表記する母音記号は、「口を横に広げて」「ウ」と発音する意味になります。日本人には「ㅜ」と同じに聞こえてしまうのですが、韓国人は違う音として認識しています。

初心者の人でちょくちょく「우と으の聞き分けができません・・」と悩んでいる人が出てくるのですが、この二つを聞き分けるかなり難しいので、気にする必要はありません。ただ、発音して韓国人に通じないと困るので自分で発音するとき大げさに「口を横に広げて」発音することに意識を向けるといいです。すると、だんだん「ㅜ」との違いがわかってきます。

なお、「ㅡ」は上でも言及した通り、「陰母音」に分類されます。

⑥人単体の発音

人単体で「ㅣ」と表記する母音記号は、「口を横に広げて」「イ」と発音する記号です。偶然にもアルファベットの「I(iの大文字)」と同じ形です。

発音は日本語の「イ」と同じでいいのですが、「ㅡ」の発音をよくするためにも大袈裟に「口を横に広げて」発音することをお勧めしています。

「ㅣ」は上でも言及した通り陰にも陽にもなる「中性」の性質を持っています。

ハングル文字の覚え方:基礎母音のまとめ

ここまでㅏ ㅓ ㅗ ㅜ ㅡ ㅣという6つの母音記号をみてきました。この項の最後に成り立ちと記号が意味する発音の仕方をまとめます。この6つの記号が残り15ある母音記号の基礎になるので、ぜひ頭の中で整理できるようにしてください。

記号口の形発音成り立ちイメージ陰陽
口を大きく開けて「ア」と発音人の右に太陽朝・日の出陽母音
口を大きく開けて「オ」と発音人の左に太陽夕方・日没陰母音
口を尖らせて「オ」と発音地の上に太陽陽母音
口を尖らせて「ウ」と発音地の下に太陽陰母音
唇を横に広げて「ウ」と発音陰母音
唇を横に広げて「イ」と発音中性